Happy Birthday
今日はかのじょの誕生日。
普段は午前中を全て睡眠に充てているはずの彼女から、珍しく昼前に電話がかかってきた。驚きながらも僕はすぐに電話に出た。
「おはようー。今日は起きるの早いんだね。誕生日、おめでとう。」
「そうだよ、26歳なの。」
「ああ、そうだ。昨日はごめんね。本当はさ、昨日は0時まで起きて、日付が変わった瞬間にお祝いをしたかったんだけど、やっぱり眠くて寝ちゃってた」
「ふーん、いつものことでしょ。笑」
彼女が18歳、僕が20歳の時に彼女とは出会った。
「8月7日で、"はなちゃん"だよ」
昔そうやって誕生日の日を教えてくれたことを毎年、思い出す。
時が経つのはあっというまだ。
「学生時代の1年は、社会人の4年分に相当すると思うよ。」
なんてことを学生時代、耳にしたことがあったけれども、まさしくその通りだなと、痛感する。社会人になってから、遠距離での生活をしだして、もう数年経っているわけだけれども、あっという間に交際年数が加算されていて、いつの間にかもう8年。
数字にしてみると長いような気もするけれども、実感はあまりない。
交際年数は長いものの、まだまだ彼女の好みを僕は把握しきれていない。
「これ似合うと思って、買ってみたんだ」
本当はそんな風に気を利かせて、彼女にお似合いのプレゼントをあげてみたいのだけれども、今のところ僕にそう言ったチョイス能力はないようだ。
「さねすけって....プレゼントセンスが絶妙に乏しいよね。うちのお父さんみたい。笑」
これが現在の僕の評価である。
いかん、いかん。誠に遺憾。ちなみに、うちの父親もプレゼントセンスが欠けているタイプなんだよな。うん、これはそうだな......ひとまずは遺伝のせいにしておこう。
交際歴ばかりが積み上がって、まだまだ彼女のことが把握しきれていない。
何をプレゼントしたら、喜んでくれるのか。まぁ、何をプレゼントしても喜んでくれるんだろうけども。いつまでも気持ちだけでゴリ押しするのも、変わりばえがない。
「これ似合うと思って、買ってみたんだ」
その台詞が格好よくキマるよう、もっとこれから時間をかけて、彼女のことを知っていけたらと思う。